【札幌すすきの首切断】殺人や死体損壊のほう助に問われている父・田村修被告は初公判で無罪主張 娘・瑠奈被告による殺害計画は「知らなかった」と強調
2025年01月14日(火) 17時20分 更新
2023年7月に札幌・ススキノのホテルで男性が殺害され、首を切断された事件。男性を殺害した田村瑠奈被告30歳の父親、修被告61歳の裁判員裁判が14日、札幌地裁で始まりました。
堀内大輝アナ(14日札幌地裁)
「午前8時45分です。田村修被告の初公判の傍聴券を求めて、続々と中に入っていきます」
事件から1年半。黒いスーツ姿で法廷に現れた修被告が口にしたのは『無罪』の主張でした。
田村瑠奈被告の父・修被告
田村修被告「違うなと思う所がいくつかあります」
・貴田岡記者事件(2023年7月取材)
「遺体発見から一夜が明けましたが、現場のホテルでは規制線が張られ、中では現場検証が行われています」
男性を殺害した娘とその両親の、親子3人が逮捕・起訴された異例の事件。
娘の田村瑠奈被告は、すすきののホテルの浴室で、当時62歳だった男性会社員を殺害し、のこぎりで首を切断。
頭の部分をキャリーケースに入れて自宅に持ち帰り、刃物で眼球を取り出すなどした、殺人や死体遺棄・損壊などの罪に問われています。
男性が殺害されたホテル
父親の修被告は事件当日に、娘の瑠奈被告を現場のホテルまで車で送ったほか、犯行に使われたのこぎりやキャリーケースを事前に買い与え、瑠奈被告が遺体を損壊する様子をビデオで撮影するなど、犯行を手助けした罪に問われています。
修被告は14日の初公判で、事前に用意したメモを読み上げ、娘による男性の殺害計画について「知らなかった」と強調。
先に裁判が始まった母親の浩子被告62歳に続き、無罪を主張しました。
田村修被告
「娘から“頭部を隠したい”と言われたことはなく、隠そうと思ったこともありません」「ただ何もできなかっただけです」
これに対し、検察側は男性への殺意を抱いた瑠奈被告から犯行の前の月に「ディスカッションがしたい」と言われ、親子3人で話し合いをした時点で、修被告も殺害計画を知ったと指摘。
遺体の損壊についても、修被告がビデオ撮影を担当したことで、瑠奈被告が両手で遺体を損壊することが可能になったなどと、ほう助の罪が成立すると主張しました。
一方、弁護側は、修被告は瑠奈被告から「被害者の男性が謝ってくれたので、許すことにした」と聞いていて、「殺したい」などという言葉は聞いたことがなく、犯行の計画は知らなかったなどと無罪を訴えています。
娘の犯行を知った後も、警察に通報しなかった修被告。
田村修被告
「警察がすぐ来ることはわかっていましたので、残された時間を娘と一緒に過ごすことで精いっぱいだったのです」
裁判は15日も開かれ、判決は3月12日に言い渡される予定です。
■《スタジオ解説》
田村瑠奈被告の父親、修被告の裁判の争点を整理します。
殺人と死体遺棄、損壊、領得のほう助の罪に問われている修被告。具体的には、次の4つの行動が、瑠奈被告の犯行を手助けしたとされています。
◇《父親の修被告の4つの行動》
①【事件当日、瑠奈被告を車に乗せ、現場のホテルと自宅の間を送迎】
②【事件前、瑠奈被告にのこぎりやキャリーケースを購入し提供】
③【瑠奈被告が自宅に遺体の頭の部分を置いておくことを容認】
④【瑠奈被告が遺体の頭の部分を損壊する様子をビデオで撮影】
◇《無罪を主張する修被告》
一方、14日から始まった裁判員裁判で、田村修被告は「違うなと思うところがいくつかあります」として起訴内容を否認しています。
修被告は、指摘されている自身の4つの行動については、次のような点をあげ、無罪を主張しています。
まず「男性を殺害した犯行については、自宅に帰るまで全く知らなかった」としています。
そして「化粧品などを一緒に買って、私が支払っただけで、殺害や死体損壊の目的とは知らなかった」。
さらに「娘の瑠奈被告から頭部を隠したいと言われてことはない。ただ何もできなかっただけ」としました。
また、瑠奈被告が頭部を損壊する様子をビデオで撮影したことについては「妻の浩子から撮影を頼まれただけで、具体的な中身は知らなかった」としています。
◇《弁護側・検察側それぞれの主張》
そして弁護側は、犯行意図を事前に知らず、犯行を容易にするという認識がなく、ほう助罪は成立しないとして無罪を主張。
これに対して、検察側は、犯行計画を事前に知っていて、遺棄・損壊を止めずにビデオ撮影もしており、犯行を心理的に手助けしたと主張しています。