旧統一教会に“解散命令”オウム真理教、明覚寺に次ぐ3件目『民法上の不法行為』では初 元オウム真理教幹部・上祐史浩氏は「名義変えてしまえば、ほかに何にも影響はない」と指摘
2025年03月25日(火) 16時42分 更新
高額献金や 霊感商法などが社会問題となった世界平和統一家庭連合=旧統一教会をめぐり25日、大きな動きがありました。
司法が下した判断は、宗教法人の『解散命令』でした。
25日午後3時すぎ、東京地裁は旧統一教会への解散命令を出しました。
旧統一教会顧問弁護士 福本修也氏
「解散。解散。法治国家としてあり得るのか」
事の発端は、2022年7月。
安倍元総理の銃撃事件をきっかけに、旧統一教会の霊感商法や高額献金などの問題が浮き彫りとなりました。
盛山正仁 文部科学大臣(2023年10月当時)
「本日、担当職員が東京地方裁判所に解散命令請求の手続きを行い、先ほど当該裁判所において受理された」
文部科学省は、「法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」があったと指摘。
解散命令の要件である『組織性』『悪質性』『継続性』の3つを満たすとして、2023年10月、東京地裁に旧統一教会への解散命令を請求。
国側と教団側の双方から意見を聞く、非公開の審問が行われてきました。
過去に『法令違反』を理由に解散命令が出たのは、地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教と、幹部が詐欺で有罪判決を受けた和歌山の明覚寺の2件だけです。
旧統一教会は刑事事件で立件されていませんが、今回初めて『民法上の不法行為』を理由に解散命令が出されました。
解散命令の判断に、札幌市に住む元信者の女性は…。
旧統一教会元信者の女性(50代)
「旧統一教会の違法性に対して裁判をしてきて、それが認められて形になったことは、私たちが戦ってきたことも無駄ではなかった。30年間で名称変更や政治の力を借りて活動を続けてきたし、何も変わらなかった。信者が勝手にやったことだとか、信者のせいにして組織は生き残ってきたわけで」
女性は1987年、札幌市から全国に広がった教団に対して、損害賠償を求めた集団訴訟の原告のひとりです。
解散命令にあたって、複雑な胸の内を明かします。
旧統一教会 元信者の女性(50代)
「旧統一教会は悪なんだと言いたいが、そこで信者は生きて家庭を築いていて、そこには複雑な思いがいっぱいある。(解散命令だけで)単純に解決できる問題ではなくなっている。(脱会信者を)社会でどう受け入れて行けるのか、相談先などを考えていく必要がある」
解散命令は宗教法人にとって、どんな影響があるのか?
地下鉄サリン事件などを起こして、解散命令を受けた元オウム真理教の幹部のひとり、上祐史浩氏は…。
ひかりの輪(元オウム真理教幹部)上祐史浩氏
「(オウム真理教の)宗教法人解散命令は、信者は記憶がないほどにあまり影響がなかった。法人格がなくなるだけで(財産を)教団関係者の名義に変えてしまえば、ほかは何にも(影響は)ありません」
解散命令には大きな影響はないと話します。
一方、信者の信仰や活動については…。
ひかりの輪(元オウム真理教幹部)上祐史浩氏
「今回の件で逆に強まる恐れがある。(司法に)宗教法人解散命令まで不当に認められたという感じになると…」
30年以上、旧統一教会の被害者救済にあたってきた札幌市の郷路征記弁護士は、今回の解散命令は妥当だとしたうえで、新たな問題が起きると指摘します。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 郷路征記 弁護士
「旧統一教会が宗教法人でなくなると、法律の規制を一切受けない、大きな宗教団体ができあがる。正体を隠した伝道を全面的に展開する恐れがある。正体を隠した勧誘行為を法律で禁止していくことがいま必要」
解散命令を受け、教団は、東京高裁への即時抗告を検討するとしています。
■教団側は即時抗告を検討
東京地裁が解散命令の判断を示しましたが、教団側は東京高裁への即時抗告を検討しています。
旧統一教会は、不服であれば東京高裁、最高裁で争うことができます。
司法の判断が確定して解散命令となった場合は、法人格を失い、教団施設や土地などの財産に対して清算手続きがとられ、被害者の救済にあてられます。
仮に“法人格”が失われたとしても、任意の宗教団体としては活動を継続することができます。
一方、請求が認められなければ、法人格として存続します。
■『民法上の不法行為』が解散命令の根拠に
過去に宗教法人に解散命令が出たのは、オウム真理教と明覚寺の2件で、いずれも刑事責任を問われたケースでしたが、今回の解散命令は「民法上の不法行為」が根拠となりました
東京地裁で解散命令という判断が示されましたが、旧統一教会をめぐる問題が解決したわけではありません。