【北海道新幹線】札幌延伸までのトンネル17本のうち10本が貫通も、開業は13年後…新八雲駅の“ペコちゃん牧場”計画はどうなる?市長は危機感
2025年04月08日(火) 18時06分 更新
札幌開業は2038年度末以降。
新幹線開業の大幅な遅れは札幌市のほか、沿線のマチにも長い影を落としています。
誰もが知っているあのマスコットもやきもきしています。
将来、新幹線が通るトンネルを進みます。そして…。
壁に開いた穴から向こう側の光が差し込みました。
トンネル貫通の瞬間です。
見学に来た人
「着実に工事は進んでいるんだ。将来乗れるんだなと」
ここは、北海道八雲町の新幹線・野田追トンネルです。
長さ8.2キロ。時速260キロの新幹線なら2分弱で通り抜けます。
2021年には、工事中に斜面が崩れ、大量の土砂が流れ込む崩落もありました。
鉄道・運輸機構 若公雅敏 工事長
「9年半の歳月を経て採掘できて、大変喜ばしいと思っている」
新函館北斗と札幌の間には17本の新幹線トンネルが掘られますが、これで10本が貫通しました。
トンネルの貫通で見えた「希望の光」。
でも、手放しでは喜べない事情があります。
麻原衣桜 記者
「私が今いるのは、牧場の中にある新八雲駅です。周囲にはたくさんのクレーンが立ち並び、完成に向け工事が進められています。新八雲駅が開業すると、札幌までは約40分、東京までは約4時間10分で結ばれることになります」
八雲町の市街地から3キロの牧草地につくられる仮称・新八雲駅。
八雲町は、牧歌的なこの景色を生かして、全国初の「牧場の中の新幹線駅」を売り出そうとしていました。
そのキャラクターは…。
大手菓子メーカー、不二家のマスコット、ペコちゃんです。
八雲町のホームページにも、牛と戯れるペコちゃんがいました。
看板商品「ミルキー」の原料の牛乳は、その多くが八雲町産。
また、「ペコちゃんのモデルは八雲町の牧場の娘」?との都市伝説もあり、マチは新幹線駅の周辺にペコちゃん牧場などをつくる構想を持っていました。
しかし…。
中野洋昌 国土交通大臣
「沿線自治体の関係者の皆さまの大変大きな期待があるなかで、このような見通しが示され、私自身も重く受け止めている」
札幌延伸は2038年度末以降。
ペコちゃんの構想は振り出しに戻る可能性もあるのです。
八雲町 岩村克詔 町長
「13年後の未来というのはちょっと…。たぶん今の(不二家の)経営陣もがらっと変わる。民間というのは。次の経営陣に『それはちょっと』と言われたら終わりだよね」
八雲町民
「早くできると思っていたから。13年はちょっと長いよね」
「1本で東京まで行けるので、そういうのがとっても楽で、年寄りにはいいかなと思って、ちょっと残念でした」
高齢化と人口減少が進むマチにとって、観光客を乗せてくる新幹線の開業延期は大きな痛手。
一方、約7億円の新幹線建設の地元負担は、工期の延長で10億円以上に膨らむ見方もあります。
八雲町 岩村克詔 町長
「国のほうにも、これから伸びるのに(費用が)上がる分は、我々としては負担の軽減やなくしてほしいと要望している。マチ潰れるもの」
永遠の6歳のペコちゃんが、もし、年齢を重ねるとしたら、新幹線がマチにやって来るころには大学生になっています。
森田絹子キャスター)
新幹線の札幌延伸の開業延期は、JR北海道の経営にとっても大きな問題です。
現在の新幹線と並行在来線の赤字200億円以上分が、毎のしかかることになります。
新幹線建設の目的のひとつは地域振興ですが、そもそもつながらないと効果を発揮することができません。