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青信号で横断中の小学4年生の男児死亡、ワゴン車ではねた64歳の男に禁錮4年の求刑…糖尿病の通院を半年も怠って自己判断、注射後に食事とらず意識もうろうで事故 男児の父親も法廷に立ち「無差別な殺人事件、最大の刑罰を」
2024年07月09日(火) 09時47分 更新
5月中旬、札幌市豊平区で、青信号で横断歩道を渡っていた小学4年生の男の子をワゴン車ではね、死亡させた罪に問われている64歳の男の裁判…9日午後の初公判で、男は「記憶がない」としながらも、おおむね起訴内容を認め、検察は禁錮4年を求刑しました。
起訴状などによりますと、札幌市豊平区の会社員、花田光夫被告64歳は5月16日午前8時20分ごろ、自宅近くの市道の丁字路交差点で、意識もうろうの状態でワゴン車を運転、青信号で横断歩道を渡っていた小学4年生の男の子をはね、死亡させた過失運転致死の罪に問われています。
小学4年生の男児をはね、死亡させた花田被告のワゴン車
9日午後、札幌地裁で開かれた初公判で、裁判長から「言っておきたいことは?」と問われたのに対し、花田被告は「私自身は記憶なく、警察の調査の現場検証とかした感じでは、間違いない」と答えました。
男児は登校中、青信号で横断
冒頭陳述で検察は、糖尿病を患う花田被告が通院治療を半年も怠り、事故を起こした状況などについて、下記のように指摘しました。
■検察の冒頭陳述
・2013年から糖尿病を患い、インスリン注射で血糖値をコントロール
・医師から5週に1回の通院治療の指示を受けていたが、従わず、通院は不規則
・去年10月30日を最後に通院なし、自己判断で血糖値をコントロール
・事故前日の5月15日 体調不良で注意力が欠け、札幌市白石区で追突事故
・事故当日の16日、前日より体調悪化
・それにも関わらず、インスリン注射後、食事とらずに出勤のため運転
・認知や判断能力が低下の状態でガードレールに衝突後、男の子をはねる
初公判の廷内(9日午後、札幌地裁)
一方、弁護人からの質問に対し、花田被告は下記のように答えました。
■弁護人からの被告人質問
・(なぜ、仕事を休まなかった?)入ったばかりで、ずっと抱えていた仕事があった
・運転前にインスリン注射したが、昔から朝食とることない
・缶コーヒーは飲み、買うまでは覚えている
・子どもたちが倒れているのを見て、俺がやったのかなと
・病院に行き、注射して食事とれば防げたのが悔しい
・(遺族に対しては?)謝りたくても、謝りきれない
・自分も子ども3人いるので、同じ立場だったらすごく悔しい
検察は禁錮4年を求刑、弁護人は執行猶予付きの判決を求める(9日午後、札幌地裁)
また、被害者参加制度に基づき、亡くなった男の子の父親が法廷に立ち、花田被告に直接質問しました。
■亡くなった男児の父親からの質問
・(なぜ、病院の指示に従わなかった?)最初は守っていたが、調子良くなると、やらなくなった
・誰も注意してくれる人がいなかった(被告は当時、独り暮らし)
・(救急通報と息子の救護は?)していない。パニックになって、座り尽くしていた
・(会社は、どれぐらい行ってた?)月~金の出勤
・(なぜ、勤務先から私に直接の謝罪ないのか?)わかりません
・(なぜ、1か月後に手紙で謝罪?)すみません、わかりません
・(まわりに注意してくれる人は?)いないです
・(最後、全員に何を伝えたい?)私の子どもも、あの学校に通っていた。交通ルールは守るべきだと思った
現場は札幌市豊平区の丁字路交差点、押しボタン式の信号機ある横断歩道
さらに父親は「私たちは今回の事故について、死亡事故ととらえていません。花田光夫という自身を律することすらもまともにできず、自己中心的な行動をとる64歳の悪人による『無差別な殺人事件』だったと思っています。本日は、その思いを伝えた上で、法律で与えられる最大の刑罰を与えていただきたい」と述べました。
亡くなった男児を悼み、今も献花などが続く事故現場(9日午後)
このあと検察は「不規則かつ身勝手な判断で引き起こした事故」として、禁錮4年を求刑。
弁護人は「飲酒運転などの無謀な運転を伴うものではなく、今後、被告人は運転をするつもりはない。社会内での更生が必要」として、執行猶予付きの判決を求めました。
判決は、8月3日に言い渡されます。