外国人も理解しやすい 災害時の「やさしい日本語」とは?
(JICA函館デスク・京野宏美さん)
「(外国人に日本語で)『電車が不通です』というと『普通に動いている』のかと思ってしまう。動かない、通じていないという『不通』は(外国人の)普通の状況では使わない。ギャグのようだが、そういう混同がいろいろあったみたいだ」
函館のJICA・国際協力機構で働く京野宏美さんです。
宮城県松島町出身で、11年前、東日本大震災を経験しました。
(JICA函館デスク・京野宏美さん)
「(当時)私は何もできなかったので、せめて情報発信する側に回ったり、自分は支援できるような力をつけたいと思いました」
京野さんがいま、力を入れているのが、災害時の「やさしい日本語」を考える活動です。
災害時、避難所などで使われる言葉は、日本語が得意ではない外国人にとって難しく、理解できないことも多いのが現実です。
そんな状況を解消しようと始まったのが、「やさしい日本語」を使う取り組み。
1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、日本語が得意ではない外国人が「災害弱者」として注目されるようになりました。
京野さんは、「やさしい日本語」には、いくつかポイントがあると指摘します。
(JICA函館デスク・京野宏美さん)
「なるべく方言を使わず、ていねいに話すと、それはやさしい日本語に近い」
標準語を意識して、はっきり話すと伝わりやすくなります。
また、「記入してください」を「書いてください」、「着席してください」を「座ってください」に置き換えるなど、できるだけ訓読みの言葉を使うとわかりやすくなると言います。
さらに、こんな問いかけも…。
(JICA函館デスク・京野宏美さん)
「『トイレはこの部屋を出て右側にあります。』これを、例えばあなたがベトナム人と一緒に避難所にいるとして、どうしますか?」
これに対し、京野さんの答えは…。
(JICA函館デスク・京野宏美さん)
「私なりの正解を考えたのが、こちら。『一緒にトイレに行きましょう。』一緒に行けば、一番早く、安心感もありますよね」
「やさしい日本語」に正解はなく、状況に応じて伝えるということを意識してほしいといいます。
また、日ごろから地域に住む外国人と顔の見える関係を築いておくことが、災害時、路頭に迷う外国人を減らすことにつながると訴えます。
(JICA函館デスク・京野宏美さん)
「国や人種に関係なく、命と財産は絶対に守るべきだと思う。なるべく地域で、外国人とか日本人とか一切関係なしに交流が図れるような地域にしていきたい」
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