やさしく伝える 防災コラム

地震・津波

東日本大震災から10年~北海道にも迫る巨大地震

今日ドキッ!

シリーズでお伝えしている東日本大震災から10年です。今回は、私たちの住む北海道に迫る巨大地震についてです。

最新の研究で新たな事実が分かってきました。

厚岸町危機対策室 吉田剛係長「(こう見ると高い場所がないですね?)施設としては海抜の低い市街地になっているので難しい」

北海道の厚岸町が作成したシミュレーションでは、市街地に押し寄せる津波。地震発生からわずか30分で到達し、渋滞に巻き込まれた車が次々と流されてしまいます。津波からの避難のため厚岸町は、先月、標高70メートルほどの高台に続く避難階段を完成させました。

吉田係長「6分の1程度を上っていただければ十分に津波は回避できる高さになっている」

今後30年以内に東日本大震災クラスの地震が発生する確率は7%から40%と予測される千島海溝沿い。政府の地震調査委員会は、切迫の可能性が高いとして警鐘を鳴らしています。

北海道大学と東北大学がおととしから始めた千島海溝の地殻変動調査。水深およそ3000~6000メートルの海底に「観測機器」を3つ設置。年に1回、船から音波で位置を測定し、地殻変動によって「観測機器」がどれほど移動しているか、捉えようというものです。

そして、去年10月の測定で新たな事実をつかみました。
東北大学地震・噴火予知研究観測センター太田雄策准教授「少なくともプレートとプレートの間が固着している可能性があることが見えてきている」

「固着」とは、陸側のプレートとその下に沈み込む海側のプレートがくっついた状態のことをいいます。「固着」が強い領域では陸側のプレートに地震を引き起こすとされる「ひずみ」が蓄積され、元に戻ろうとずれ動いた際に巨大地震が発生することが分かっています。今回の海底調査で巨大地震につながる手がかりをつかんだのです。

太田准教授「固着度合いが分かると地震が起きた時、どういった津波が生じうるのかなどの基本的な情報になります。自治体等で検討をする津波のハザードマップも含めて防災減災対策に生かすことができるようになる」

陸地からの研究でも分かってきたことがあります。
これは道東の浦幌町の海から500メートル内陸の地層の一部です。赤く囲った層は17世紀中頃に噴火した有珠山の火山灰。そして、青く囲った層は津波が海から運んできた砂などの堆積物です。過去に道東を襲った巨大津波の痕跡です。
歴史的文献がほとんどない道内で地層から大津波を伴う巨大地震がおよそ400年周期で起きていたことを突き止めました。

西村准教授「私たち津波や地震の研究者は明日起きても「あ、来たか」と思います。全く驚きません。今後起きる可能性の高いところでできるだけ精度の高い、説得力のある長期予測をして行かなければいけない」

※掲載した情報やプロフィールは更新日時点のものです。

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