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東日本大震災から10年~演劇がつなぐ原発事故の教訓

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シリーズでお伝えしている東日本大震災から10年です。今回は、札幌の劇団が演劇でつなぐ福島第一原発事故の教訓です。

2021年2月、札幌で上演された原発事故を題材にした舞台「空の村号(そらのむらごう)」。 何もかも変わってしまった日常に戸惑いながらも、映画監督になる夢を見つけ出し、避難のため村を後にするまでを描いた物語です。東北の村に住む小学5年生の空が主人公です。

今回の舞台を企画したのは札幌を拠点とするアマチュア劇団「座・れら」です。

座・れら 演出 戸塚直人さん「(原発問題を)私の問題ではないとしてしまうと本当に無関係になってしまう。でもこの問題は無関係でいることはあり得ないのではないか、無関係ではないから当事者である」

劇団が「空の村号」を上演するのは今回が3回目です。初めて演じる前には福島県を訪れました。村を撮影に訪れたのは映画監督役・山木眞綾さん「まだそのとき大学生だったが、荒れた学校を見た瞬間が一番血の気が引いた。自分がここにいたらどうしていただろうと考えてしまった」

原発事故から10年を前に劇団が、再び「空の村号」に取り組んだのは必然でした。

戸塚さん「芝居の役割は、事実をありのまま提示するだけじゃなくて、当時そこで生きていた人たちに思いをはせて、その思いをリアルに再現する、そんなことができればいい」

映画監督になる夢を見つけた、空。ラストシーンで妹と一緒に村から避難することになった空は両親と離れ離れになるのに悲しいそぶりを見せず明るく振る舞います。

空『この村が、村ごと空に浮かび上がって、放射能も汚染もなにも届かない、どこかの青い空を、どこまでも飛んでいく絵が見えた。宇宙海賊船・空の村号だ!よぉし、出航だぁー!』

原発事故の見えない放射能で表面化した分断と対立。空役の町田誠也さんは新型コロナウイルスの感染拡大でいま、社会が直面している問題と通じるものがあると話します。「僕は普遍的なものをこの作品に感じる。アクシデントが起こったとき巻き込まれた人の気持ちだったり、傍から見ている人の気持ちだったり、場所が分断される、起こっていることが(10年前の原発事故と)何も変わらない」

※掲載した情報やプロフィールは更新日時点のものです。

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